浦和地方裁判所 昭和53年(わ)388号 判決 1978年7月18日
(一)本店所在地
埼玉県岩槻市本町三丁目二番二二号
名称
有限会社 正栄
代表者
曽根正四郎
(二)本籍
埼玉県岩槻市大字南辻九四番地の一号
住居
埼玉県岩槻市本町三丁目二番二二号
会社役員
曽根正四郎
大正一四年一二月一日生
右に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官菅井利夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
1. 被告会社有限会社正栄を罰金七〇〇万円に処する。
2. 被告人曽根正四郎を懲役六月に処する。
同被告人に対し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は同被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社正栄は、埼玉県岩槻市本町三丁目二番二二号に本店を置き、日本人形等の販売業を営むもの、被告人曽根正四郎は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人曽根は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して架空名義で預金する等の不正の行為により、所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和四九年六月一日から昭和五〇年五月三一日までの事業年度において、所得金額が四、一五七万八、二一七円で、これに対する法人税額が一、五七四万九、五〇〇円であるのにかかわらず、同年七月三一日、同県春日部市大字粕壁字浜川戸五、四三五番地の一所在の春日部税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一七二万一、六二九円で、これに対する法人税額が四四万二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額一、五七四万九、五〇〇円との差額である法人税一、五三〇万九、三〇〇円を免れ、
第二 昭和五〇年六月一日から昭和五一年五月三一日までの事業年度において、所得金額が四、〇九〇万五、〇五〇円で、これに対する法人税額が一、五四七万一、六〇〇円であるのにかかわらず、同年七月二八日、前記春日部税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二八八万一、二二八円で、これに対する法人税額が七五万六、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額一、五四七万一、六〇〇円との差額である法人税一、四七一万五、三〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
全部の事実につき
一、被告人作成の答申書六通(請求番号79ないし84)
一、被告人の検察官に対する昭和五三年三月一八日付供述調書
一、野口浩二の大蔵事務官に対する供述調書
一、野口幸男の大蔵事務官および検察官に対する各供述調書
一、春日部税務署長笹井繁男作成の昭和五二年九月一日付証明書
一、有限会社正栄の登記簿謄本
(法令の適用)
1. 被告会社有限会社正栄に関して
判示第一、第二の各所為につき
法人税法一六四条一項、一五九条一項
併合加重につき
刑法四五条前段、四八条
2. 被告人曽根正四郎に関して
判示第一、第二の各所為につき
法人税法一五九条一項(懲役刑を選択)
併合加重につき
刑法四五条前段、四七条、一〇条(重い第一の罪の刑に加重)
執行猶予につき
刑法二五条一項
訴訟費用につき
刑訴法一八一条一項本文
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 杉山仲顕)